このページに文章を書くのもずいぶん久しぶりです。2008年にCD「喜びのたね」をつくったことを綴った以来ですね。
2009年、毎日、本当に突っ走っていた・・そんな感じです。
定期的に音楽のワークショップをひらいているのは、「ヒカリ園」という幼稚園、宇都宮のフリースクール、障害を持つ方の作業所・グループが5,6ヵ所。コーラスの指導をさせてもらってるのが4グループ。
あと、不定期に小学校などで合唱、合奏の指導をお手伝いしたり。その他は、コンサート、講演会等の依頼をいただいて活動をしました。自分でも、こんなに音楽の日々を送れるなんて、予想もしていなかったので・・・
人生は何が起こるかわからないなあ・・という気持ちを持っています。
|
都賀町の障害を持つ方々との音楽ワークショップ。
今年で6,7年のおつきあい。
ギターを弾いてるN君はものすごい音感の持ち主で、
ジャズギターもこなす。
私の歌にすぐに伴奏をつけて何でも弾いてくれる。
後ろのT君はタイコが大スキ。ジャンプしながらたたきます!
Yちゃんはきれいなハイトーンエンジェルヴォイスを持つ歌姫!! |

|
|
私はピアノ科の学校を卒業して、そのあと演劇の道に入りました。クラシックの音楽ではどうしても緊張とプレッシャーを感じ、悩みも多かったのですが、演劇という新しい世界に入って、ものすごく新鮮でした。
「自分をもっと表現して」と演劇の先生に言われます。
「え、自分って・・何?どうすればいい?」
たとえば・・・演劇のエチュード(練習)の中で「火、炎になって、表現して」というのがありました。
身体を使っての表現です。ただ形だけ・・火のようにまねるのではなく・・・自分が「火」というもの、そのものになっていくというか・・・でも、人間は「火」ではありませんから・・・そのものにはなれないのですが・・・
劇団で、同じ研究生が40人くらい見守る中で、一人で表現に入っていくわけです。恥ずかしさ、どうしたらいいかわからない戸惑い、いろんな思いがおそってきて頭が真っ白になります。
私はとにかく・・手を動かし、足を動かし・・・・「熱さ」を感じ・・いつのまにか没頭していく・・・何に?頭で考えてもわからないのですが・・・なんか必死で動いていくんですね・・・
答えがないもの、それに向かっていく・・・その感じがとても新鮮でした。 |
研究生時代を2年、そのあとは8年くらい、舞台に立ったり、テレビの仕事をしたり、役者の生活でした。
役者だけではとても生活できず、親からの援助を受け、アルバイトもするという生活でした。
ピアノの技術を生かして、ホテルのラウンジ・クラブ・パブなどで、ピアノの弾き語りのアルバイトをしていました。
聞いているお客さんはあまりいないという状況で・・・ピアノを弾いて歌うというのは、けっこうさびしいものもありましたが・・・
でもちょうどバブルの時代。
お客様のリクエストで演奏するとチップ(お礼)をいただいたり、嬉しかったこともありましたネ。
曲のレパートリーも増えました。歌謡曲から演歌、ポップス、ジャズ・・・いろんな曲を演奏したり歌ったり・・・・
クラシックを勉強した者にとっては、演歌を弾くのは・・・最初はずいぶん抵抗もありましたが、やっぱり音楽は心に響きます。
リクエストをもらって、初めて歌うような演歌の歌詞や響きに、思わずホロリと涙がうかびそうになったこともあります。
酔っ払いのオジサンが歌う演歌の伴奏をしながら、最初は「いやだなあ〜」なんて思っていても、オジサンが嬉しそうに歌うのを見て、なんだか自分の父親を思い出してウレシクなって、ピアノを弾く自分が生き生きとしていく・・・
そんなこともたくさんありました。
やっぱり音楽は自分にとって、とてもたいせつなもの、支えてくれるもの、だいじなだいじな宝物だったんですね。 |
30歳を目前にして私は結婚しました。役者もやめて、家庭に入りました。そして3年後・・
石朋が病気になり、私もこれからの人生、どうしていこう、とまたまた真剣に考えざるを得ない状況になりました。
そんな時に・・・「音楽療法」という分野があることを知り、また音楽の世界に帰って来ました。
でも・・ずいぶんピアノを練習したりしなかったので・・テクニックは落ちていますし、ブランクは大きかったです。
アルバイトで弾いていたとはいえ、基礎的なこと、テクニックをアップさせるような訓練は学校卒業以来、
きちんとはしていなかったので、「エリーゼのために」を弾くのだって、オタオタするしまつ。自分に本当にがっかりでした。
そしたら・・・ある日、たまたま知り合ったピアニストの方と話している時に、私がぽろっと「しばらく全然、クラシックピアノも弾いていませんでしたし、練習もしていなかったので・・・10年くらい、ブランク(空白)をつくってしまったんんですよ。後悔しています」と話したんです。
そしたらそのピアニストが「ブランクなんて、ないですよ。きっとその10年間の・・岡倉さんの音があるはずですよ」
とおっしゃったんです。
胸にぐっときましたね。ものすごくうれしかったです。ほんとうにありがたかったです。 |
そして手探りではじめた音楽の道。
結局「音楽療法」は数日間セミナーを受けただけだったのですが、この出会いは大きくて・・・
その後、たまたま知り合った方から、「岡倉さん、私の息子が重い障害を持っていて、作業所に通っています。そこの利用者さんたちが音楽が大スキですから、一度そこで歌ったり、タイコをたたいたりしてくれませんか」と誘っていただき、生まれて初めて、「作業所」というところへ行きました。 |
30人近く、障害を持った若者・・40代くらいの人も数人、いらしたかな?車椅子の人、自閉症・・らしき人?ダウン症らしき人?当時の私にはあまりよく把握できていなかったですが・・・とにかく皆、ニコニコと私を迎えてくれて・・

|
長年通った、神奈川の作業所さんでの音楽ワークショップ。
10年以上前の写真。私も少し若いですネ(笑)
みんな歌うのが大好きで、すぐにこんなふうにすぐそばまで来て
一緒に歌うことになります。
とてもウレシイ瞬間。 |
1曲1曲歌うたびに・・・声援と拍手と・・・ものすごく喜んでくれました。「歌、うまいねえー!!」「今度は、アレ、歌って!」とかものすごい反応が返ってきます。
歌にあわせて、踊る、跳ぶ!叫ぶ!勢いあまってころんでしまったり・・・大騒ぎです。泣きながら私の肩をぽんぽんとたたく人もいます。そのうち号泣してわたしにハグしてくる人も・・・・・
私は・・・びっくりするやらうれしいやら楽しいやら・・・不思議の国にまよいこんだような・・・・
なんなんだ、これは???みたいな・・
今からかれこれ17年前のことです。私の音楽活動はこの日がスタートだったんだなあ・・・と鮮明におぼえています。 |
この作業所さん、神奈川にありました。結局、月に1回のペースでしばらく行ってました。そして、この作業所さんにかかわりのあった方からまた、違う作業所さんを紹介していただいたりして、口コミで仕事が広がっていきました。
私は皆さんから、元気とあったかさと・・たくさんの優しさをいただいて・・また音楽を奏でる幸せ、歌を歌う歓びを感じるようになり、がんばれました。皆さんに、とても感謝しています。
そして神奈川を離れ・・・2001年に那珂川町、当時は馬頭町でしたが、ここに引っ越してきて、今年で9年たちました。
毎年「花の風まつり」でひらいているコンサートも8回目です。
多くの出会いがありました。いろいろなところで歌いました。去年は幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校、そして公民館主催のセミナー、高齢者シルバー大学、町のイベント・・・・本当にいろいろな方々と歌ったりおどったり・・うれしかったです。 |
そして地元のゴスペル「オリオリ」の結成5周年を記念して、コンサートを11月にひらきました。
メンバーみんながとても前向きで、好奇心いっぱいで、練習の時からエネルギーが爆発するようで!!
ハーモニーも美しく、いいコンサートでした。あの「ダンシングクイーン」、アバの名曲♪映画「マンマミーア」でもおなじみですが、それで歌って踊ったんですヨ!!!楽しかったです。 |
オリオリゴスペル5周年記念ライブ。
オーハッピーデイの最後のキメポーズ♪
ホントに楽しかった♪♪ |

|
|
12月には宇都宮のNPO「もうひとつの働き方」主催チャリテイーコンサートで歌いました。
場所は宇都宮文化会館の大ホール・・・・・いやはや、3000人キャパの大ホールでしたから、どうなるかな〜とちょっと心配でしたが、「花の風コンサート」の心強いメンバー、オカリナの古庄由喜子さん、ピアノの千鶴さんがすばらしい演奏を、そして「オリオリゴスペル」「ハミングコーラス」「ヒカリコーラス」から助っ人がたくさん参加してくださり、心のこもったすばらしいコーラスを響かせてくれました!
千鶴さんの娘さんのトランペット、うちの娘のヴァイオリン、そしてパーカッションは「若者」シンゴ君がかけつけてくれて、にぎやかなステージになりました。 |
 |
文化会館のステージ。
リハーサルの時。
数日前はフジコへミングさんが弾いたスタンウェイピアノ。
きれいないい音がしました。 |
|
この日は雨で寒い日になりましたが、多くの方々が来て下さり、車椅子の方も雨の中、来てくださって・・・・
ほんとうに嬉しかったです!!ありがとうございました。このチャリテイーコンサートはいろんな方々・・・
たとえば「シングルマザーを支援する会」とか「障害を持つ方々を支援する会」「親御さんのもとを離れているお子さんの居場所、家をつくっている方々」などなど・・多くの方々がサポートして下さっていました。
私など・・・ほんとうに、自分が生活しているところ・・・せまい世界しか見えていなくて・・・いろんな活動をされている方々が多いことに驚き、世界にはいろいろなことが起こっているのだという・・現実に目が開かれるようでした。 |
チャリテイーコンサートリハーサル。
大ホールは大きかった! |

|
|
2010年・・もう春まぢかです。
これから自分が何をしていくのか・・・何を表現していくのか・・・・何を伝えていくのか・・・・・
あらためて新鮮な気持ちで、そして音楽をしていく幸せに感謝しながら、日々精進していきたいなあーと思っています。
皆様と・・・・今年はどこでお会いできるでしょうか?コンサートで?展覧会で?
またお目にかかれることを楽しみにしています。これからもどうぞよろしくお願いいたします! |